つりどりみどり。

釣るし採るし観察するし撮影するし、なんなら文献も漁る。

真狩川の”アカハラ”オショロコマは健在なのか?

道南の湧水河川・真狩川(まっかりがわ)のオショロコマに交雑疑惑の噂がたったので調べてみたが、ボンヤリした情報が増えるばかりで、かえってよくわからなくなった。

というところまでが前回の記事

いったん原点に立ち返って、真狩川のネイティブを確認しに行くことにした。

はたして再会できるのか

真狩川に入ってみる①

真狩川にやってきた。

相変わらず狭い

今回、フライタックルに加えて水中撮影リグを持ちこんだ。

ここのオショロコマとは相性が悪いらしく、ほとんど釣れたためしがない*1が、水中にカメラを突っ込めば、何かしらの情報は得られるだろう。

とりあえずカディスを投げてみると、

なんだこりゃ。

背筋の曲がったニジマスが釣れてしまった

キープする装備はなかったのでリリースしてしまったが、やはり持って帰ってもよかったかもしれない。後悔先に立たず。

しかし、10年前にオショロコマを釣ったところに入ったつもりだったんだけど、こんなところにまでニジマスが進出してるの?

水面下はどういうことになってるんだ?水中撮影に切り替えてみる。

画面中央の魚影もニジマスだった

透明度が思ったより低く、画像が不明瞭になってしまう。

しかしオショロコマっぽい魚影が見当たらない。

場所を移してみる。

さてどこに魚がいるでしょう

見つからん。

ウォーリーをさがせ」したいわけじゃないんだけどな。

オショロコマが居ればたいていは群れているものなんだけど。

上の写真を撮ったポイント周辺でフライを投げてみると、

ニジマスよりうれしいけど

アメマスかあ…君じゃないんだよなあ。

なんとこの日は1日中川を歩いて収穫ゼロで終了。

後日に持ち越すことになった。

 

真狩川に入ってみる②

数か月後、再び真狩川にやってきた。

今回は悠長に探索せず、確実にいるところを直撃することにする。

しばらくぶり

はい釣れた。間違いなくオショロコマ。

赤いヒレ、青みを帯びたパーマーク。オレンジより赤い腹部。外見は真狩のアカハラといって差し支えない。ただ、朱点がちょっと大きいような?

存在確認ができたので、釣り道具をしまって水中撮影に切り替えた。


いたいた。

あまり大群ではないけれど、それでもざっと数十くらいは確認できた。

とりあえず、ミヤベイワナのグリーンバックとかブラウンバックみたいなのは居ないように見える。

そっと近づいて、アップを撮ってみる。

あ、朱点が小さい奴もいるね。

特に彩度をいじらなくても十分に赤い…ような気がする。

体型も砲弾型でよく肥えている。餌が豊富なのか、産卵期が近いせいなのか。

集まってるのを撮ると、色彩の個体差がよくわかるね。

しかしサイズがだいたい同じくらいなんだけど、再生産はどうなってるのか。

と思ったら、一応幼魚は見つけた。けど、数が少ない。

 

受難が続きそう

久しぶりに真狩のオショロコマを見ることができた。

外見が特に一変した感じはなかったけど、結局は遺伝子見ないと分からないなー、という感じ。

さいわい、真狩川水系の別の支流でもオショロコマが残っていることは確認しているので、やろうと思えばできるんじゃないかと思う。問題は先立つものだけど。

 

それと今回の探索で気づいたのは、10年前より上流までニジマスやヤマメがいたということ。真狩川の水温が上がっているとかだろうか?さいわいスプリングクリークだから、ロガーをうまく入れれば、長期間の水温モニタリングとかできるかも。

 

今の真狩村はオショロコマにはとんと興味がないらしく、村の観光情報サイトで「オショロコマ」と入れてもヒットする記事がない。

代わりに「川のぬし釣り」なるイベントが2年前から始まっている。リンクを貼っておくけど…割と魂消た。色々な意味で。www.makkari-kanko.jp

 

前途多難だな。

*1:まあ原因は大方想像がつく。ぼくの釣りはドライフライ主体なのだが、真狩川にはアメマス、ヤマメのほか、ニジマスも放流されている。オショロコマにとって表層~中層域の競争相手が多いのだ。実際、この川で行われた研究では、オショロコマが他種より底生の餌を多く利用しているというものがあり、必然的にドライで釣る難易度が高くなっていると思われる。