つりどりみどり。

釣るし採るし観察するし撮影するし、なんなら文献も漁る。

「無斑オショロコマ」を見に行く

 「無斑オショロコマ」を見に行くことにした。

 ここでいう「無斑」は、パーマークや斑点や白点など、その魚に特徴的な模様が一部または全部失われているという色彩変異のことだ。

こういうの

 特にイワナの仲間では比較的生じやすい変異なのか、検索かければ結構ヒットする。佐藤成史著「瀬戸際の渓魚たち」*1でも、一章を「無斑イワナ」に割いている。

 無斑オショロコマについては、無料*2で閲覧できる資料で3か所の水系で報告がある。ただし、いずれかが重複している可能性あり。*3

 広い北海道の中で、多く見積もってもわずか3か所。レアリティとしてはそこそこ高いと言えるんじゃないだろうか。

ヒグマの生息エリアへ

 というわけで、「無斑オショロコマ生息地」のうちの一つ、とある河川の源流域に行ってみた。

 場所の詳細は省略。保護水面であり採捕は禁止、事前に届け出が必要なこと、そして「ヒグマの巣」であることだけは書いておく。

ヒグマの糞(内容物はたぶんミズナラ

 行きの道中、こんなのが3個も車道に落ちていました。

 入渓した後も、これ。

 



 不自然にコケがずれている。

 横幅的にはクマにしか見えない。なんとなく爪の跡もあるような気がするし。

 イラクサに体のあちこちを刺され、沢登りで汗だくになったころ、撮影ポイントに到着した。

無斑オショロコマとアメマス

 水中はこんな感じ。透明度はかなり高い。

魚をよく見てみると…

 この時点で、遠目にも「普通でない感じ」のオショロコマが見える。

 もっと近づいてみる。

バリエーション多し

 …なんということもなく居やがるなあ。

 感動するというか拍子抜けするというか。

 個体ごとに斑紋の状態はバラつきがあり、パーマークがいわゆる「流れ紋」になっている個体や、薄く消えかかっているがわずかに斑紋が残っている個体、ほぼ完全な無斑まで様々。

 遺伝子型と表現型の関係とか適応度とかが気になる。誰かやってないのか。名城大の人とか。

 

 

 普通の斑点と朱点のある個体も見つかる。

 あとオショロコマの最大サイズと比べてアメマスがでかいな?

 ここでの種間関係を見るのも面白そうだ。

 アメマスはどこまで居るのか気になったので、少し遡上してみた。

また別のエリア

 ちょっとした物理的境界を越えると、アメマスが消えた。

 オショロコマのサイズも小さくなった。

 

近い近い近い

 人を恐れないというか認識していないというか、じっとしていると集まってくるばかりか、カメラに興味津々で寄ってきてつついたりする。  

 椅子でも持ってきて、ぼけーっと眺めるだけで楽しいと思う。

 営利目的の採集者(これだけが本当にノイズ)限定で確実に締め出す体制ができれば、もっと面白くなると思う環境なので、本当に歯がゆい。

*1:全国の渓流魚個体群釣り歩き紀行書である。

*2:少なくとも国会図書館では閲覧できると思う

*3:これらの文献について詳らかにするのは避けておく。ほんのちょっと調査能力があれば手に入る情報だし、どこの馬の骨かもわからない人間がオークションサイトに大量の生体を出品するこのご時世、自分の文章が原因でお気に入りのポイントが荒らされる事態が発生するのは全く愉快ではないからだ。